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映画『大統領の料理人』の感想

2013/09/29
おとといは、ひさしぶりに映画館に行ってきました。

うちの家から映画館は微妙に遠いので、映画は好きだけど、滅多に行きません。
…まあ、最近は、観たい映画が少なかったってのもあるけど。

そんなわけで、映画館は、『ホビット』以来。
つまり、今年になってから、初めてでした…(汗)

2013年初で観たのは、フランス映画『大統領の料理人』

日本版予告編↓



フランス版予告編↓



個人的には、フランス版の予告編のほうが好きだな。

9月の半ばくらいからずっと観に行きたいと思っていて、先延ばしになりつづけていたのですが、ようやく観に行くことができました。

しばしばこのブログにも書いてるように、フランスは好きだけど、フランス映画は少々苦手な私。

でも、語学の勉強にもなるし、紹介を見た感じではわりとおもしろそうだったので、観に行くことにしました。
それに、エリゼ宮にも興味があるので…。

映画は、ミッテラン大統領の時代に、エリゼ宮(=大統領官邸)で大統領のプライベート・シェフを務めた女性の実話をもとにしたストーリー。

実際に観てみると、この映画は、フランス映画にしてはわりと素直で、軽妙な会話も心地よく、料理はとっても美味しそう(ただし、コレステロールたっぷりガッツリ系…)だし、最後はホロリとさせる場面もあって、なかなか楽しめました。

フランス語もわりと分かりやすくて、DVDが出たら買おうかな…と思っています。

以下、ネタばれもありつつ、もう少し詳しく感想を書きたいと思います。


映画は、実話をもとにしているとはいえ、主人公の料理人の名前も変えてあるし、大統領の名前も出てきません。

その点、日本版の公式サイトは、ちょっと「ミッテラン大統領」というのを強調しすぎてるような気がします。

実際には、これは実話をもとにしているとはいえ、あくまでフィクション。
大統領はじめ、エリゼ宮で働く人たちもクセ者揃いで、コミカルな味付けがされています。

***

主人公は、もともとペリゴール地方で小さなレストランと料理学校を営んでいたオルタンス。
その彼女が、ある日突然、エリゼ宮のプライベート・キッチンのシェフに任命されることになって…というお話です。

…が、公式サイトで一応あらすじをチェックして行った私は、映画館でちょっとびっくりしました。

というのも、映画の冒頭は、何やら海と荒涼とした大地が舞台になっていたから。
ペリゴールにも、パリにも、もちろんそんな場所はありません。

あれ?…と面食らっていたら、映画は、2つの場面が同時並行的に進む構成になっていることが分かりました。

1つは、オルタンスがエリゼ宮で働くことになる、はじまりから終わりまでのお話。
そしてもう1つは、彼女がエリゼ宮を辞めてのち、南極調査隊のキッチンで1年間働いたあと、南極を去る前の最後の1日のお話。

その2つのお話が、交互に進行していきます。
もちろん、メインは、1つ目のエリゼ宮でのお話なのですが。

この2つは、南極での彼女がエリゼ宮での日々を回想する…というように語られるわけではなく、ただ交互に場面が切り替わっていきます。

公式サイトには、南極のことは何にも書いてなかったので、びっくりでした。

***

冒頭の南極での場面ののち、映画のタイトルロールでは、ペリゴール地方の緑豊かな田園風景を鳥瞰した美しい映像が流れます。

そして、パリにオルタンスを送り出すために、お役人がオルタンスの家を訪ねる…というわけ。

ここで、オルタンスは、まだ自分が大統領官邸の料理人に任命されたことは知りません。
何やらパリのお偉いさんのプライベート・キッチンを任されるらしい…くらいの考えで、まさかそれが大統領だとは思いもよらないのです。

この場面もコミカルで、お迎えに来たお役人(県庁の職員?)は、道に迷ったせいで、オルタンスが乗るはずの列車の時間ぎりぎりになってしまい、道路を疾走したり、「電車を待たせろ」…とかいう横暴な命令を下したり。

そして、パリに到着したオルタンスを出迎えたアズレは、彼女を「フォーブール・サントノレ通り55番地」に連れていくと言います。

「フォーブール・サントノレ通り55番地」といえば、エリゼ宮の住所なのですが、オルタンスには、何のことやら…。
まるでその住所を聞いたら誰しもそれがどこを指すのか分かるのが当然とでもいうような態度のアズレに、オルタンスは、それって有名な場所なの?といった態度。

大笑いする場面じゃないけど、クスっとさせる、ニヤリとさせる…この映画を通じて、そういうシーン、セリフがたくさんありました。

***

そして、実際にエリゼ宮で働くことになった彼女。

といっても、エリゼ宮の主厨房ではなく、大統領のプライベート・キッチンが彼女の担当。
助手として、若いパティシエのニコラがつくことになります。

アズレや給仕長のジャン=マルクがエリゼ宮のしきたり(プロトコル)や彼女の業務を教えてくれるのですが、それもまたニヤリとさせてくれます。
中庭は横切ったらいけないとか、出会ったらとりあえず全員に挨拶しないといけないとか…。

…ご大層で、まるで王宮みたい。

結局、大統領の好みも分からないまま、料理をすることになったオルタンス。

彼女が作る料理は、シンプルで本物の伝統的なフランスの田舎料理。
主厨房の料理人たちからは敵意を向けられながらも、オルタンスは、ニコラやジャン=マルクと協力しながら、料理にとりくみます。

大統領も、彼女の作る料理を喜び、忙しい中を縫って、彼女と話す時間を作ります。

この場面でも、公務に出かけないといけないのに、なかなか彼女との話を切り上げない大統領に右往左往するまわりのメンバーの様子がおもしろかったです。

大統領の信頼を勝ち得たオルタンスは、「大統領の愛人」なんていう心ない噂を立てられながらも、エリゼ宮でのパーティーの料理をまかされるまでに。

しかし、政治的な事情は、料理とは関係なく動いて行くもの。
アズレが辞任することになり、代わりに着任した顧問のサロメは、予算や請求書にうるさいイマドキのお役人タイプ。

アズレさん…上品でエリートっぽくて、それでいておもしろかったんだけどな…。
今度のサロメは、オルタンスとの話し中にも電話で下品に大笑いするような、なんとなく虫が好かないヤツ。

さらには、高齢の大統領のため、食事制限が課せられることになり、オルタンスには逆風が。

そして、疲労骨折や、仕事がきつくなったことで、もはや役目をきちんと果たすことができない…と感じたオルタンスは、エリゼ宮を去ることを決意します。

***

…と、エリゼ宮での彼女の日々は、だいたいこんな感じ。

それと並行して、南極調査隊の基地のキッチンで働くようになったオルタンスが、1年の契約を終え、基地を去ることになる前日の様子が描かれます。

基地のメンバーは、みんな男で、どちらかといえばガサツで粗野、男ばっかりだから下ネタも大好き。
エリゼ宮で働いていたスーツで身を固めたお上品な人たちとはまるで違います。

でも、彼ら南極調査隊のメンバーは、温かく人間味にあふれていて、1年間おいしい料理を作ってくれたオルタンスのために、手作りの歓送会をします。

その歓送会での劇も、正直、お下品なのですが、それでも心温まるもので、オルタンスも心から喜びます。
彼らのメッセージや、みんなで歌う「ほたるの光」の合唱は、ホロリとさせてくれました。

これは、私の個人的な感想ですが、これらは、オルタンスが2年間のエリゼ宮での日々では得られなかったもの。
たしかに、大統領は彼女に心から感謝もしてくれたのですが、忙しい大統領と話をする機会はほとんどなく、毎回の食事の感想を聞くこともままなりません。

最後、南極の大地を背景に、大統領に残した彼女の手紙がナレーションで読まれるのですが、そこにあったように、エリゼ宮での日々は報われることの少ないものでした。

この南極でのエピソードは、そんな日々に疲れてしまった彼女が、人生を新たにスタートさせるために必要なリセットというか、充電というか、そういうものだったのかな…と。

エリゼ宮と南極大陸という、まったく違う2つの土地でのエピソードは、そういう意味で対比をなしているのかな…と思いました。

最後の手紙のナレーションは、なかなかホロリとさせるもので、一緒に映画を観に行った母は、涙ぐんでいました。

***

さて、キャストについてですが、オルタンスを演じたのは、カトリーヌ・フロ。

セザール賞の常連だそうですが、見た感じは、普通のおばちゃん風。
それゆえこの役どころにも説得力がありました。

時に厳しい表情を見せつつも、生き生きと厨房で働く姿が印象的でした。

大統領を演じたのは、これが映画初出演というジャン・ドルメッソン。

80代も後半だということで、大統領というにはちょっと年齢が高すぎる感じでした。
これじゃ大統領務まらないよ…というくらい、おじいちゃんでした。

いいおじいちゃん風だったので、政治家って感じはあまりしなかったな…。
ま、映画では、政治家としての大統領が描かれるわけじゃないので、フツーのおじいちゃんでも問題はないのですが。

他も、濃いメンバーでした。

個人的には、アズレさんと官房長?の蝶ネクタイ&メガネのおじさんが好きでした。

***

撮影は、もちろんエリゼ宮ですべてを撮ることはできないので、ほとんどは労働省の入っているシャトレ館で撮影されたようです。

でも、中庭や祝宴の間、正面入り口なんかは、ホンモノのエリゼ宮で撮影したらしいです。

そうそう、エリゼ宮は、もちろん普段は入れないのですが、1年に1回、9月のヨーロッパ文化遺産の日には無料で一般公開されます。
私も、2011年にたまたま仕事でその時期にパリに行っていて、朝6時半から並んで見学しました。

そういえば、中庭、横切っちゃったよ!

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↑中庭から見たエリゼ宮

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↑祝宴の間

そういうわけで、映画でちょこっと出てきたエリゼ宮は、なんだか懐かしかったです。

ちなみに、エンドクレジットを観察していたら、南極大陸の場面は、アイスランドで撮影されたようです。

***

あといくつか小ネタ。

助手のニコラが言う、「名前の由来」…ワイン・ショップというのは、チェーンのワイン・ショップ「ニコラ」のことですね。
ここもニヤリ。

*

南極での場面では、TV撮影に来たオーストラリアのクルー2人が登場します。
彼らとオルタンス、隊員との会話がなんだかリアルでした。

何がって、英語とフランス語でお互い会話してるところ。
通じるんかい…って思うけど、通じるんですよね。
こういう場面、海外でしばしば目撃します。

あと、隊員のフランス語訛りの英語もリアルでした。
それは演技じゃないかもね(笑)

*

オルタンスの料理は、オーセンティックでトラディショナルなフランス料理。
なので、結構ガッツリ系でした。

でも、美味しそう…!

*

エンドクレジットを見ていたら、音楽の著作権許諾の中に、SNCFのメロディっていうのを見つけました。
一瞬だったので、もしかしたら違うかもですが…。

SNCFのメロディっていうと、アレを思い出すのですが、劇中でそんなの流れてたっけ?
それとも何か別の?

*

音といえば、劇中で聞こえてくるパリの街の騒音がなんだか懐かしかったです。
特に、パトカーのサイレンが!

*

そういえば、エリゼ宮の中庭に停まっていた公用車がどれもやたらと古い型でした。
一応、ミッテラン大統領時代…っていう設定だからかな?

***

一度観ただけなので、もしかしたら書き忘れてることもありそうなのですが、とりあえず、感想はこんなところで。

この映画の一番の魅力は、美味しそうな料理もさることながら、私的には、やっぱりエスプリのきいたニヤリとさせる会話かな…と思います。

ストーリーもなかなかよかったし(ただ、オルタンスがエリゼ宮を辞めてしまうのは、少々唐突な感じもしましたが)、笑いの要素とホロリとさせる要素がバランスよくミックスされていて、良い映画でした。

フランス語も聴きとりやすくて(大統領はちょっと分かりにくかった)、字幕があれば比較的分かりやすかったです。
私みたいにフランス語を勉強してる人にもおすすめできるのかな…という気がします。

字幕はどうしても制約があって、情報量が少ないので、字幕を見ながら、元のフランス語を聞きとるのも勉強になるかな…って思います。
映画をよりよく楽しめるし。

そういうわけで、DVDが出たら買おうかな…と思案中。
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