ホビットBOFAをディープに語る③―トーリンとビルボ(その3)
2014/12/28
『ホビット―決戦のゆくえ』についてディープに語るシリーズ、ようやく最終回にこぎつけました。
…年内に終わらないかと思ったよ(大汗)
ちなみに、田舎在住(=近くに映画館がない)+金欠の私は、ホビット愛は深けれど、そうそう何度も何度も映画館に足を運ぶことができないので、まだ一度しか観られていないため、そろそろ記憶がぼやけてきました。。
年明けに、あと1回は観にいきたいと思ってるんですが。
では、トーリンとビルボ編、ネタばれ大アリで行きます↓
…年内に終わらないかと思ったよ(大汗)
ちなみに、田舎在住(=近くに映画館がない)+金欠の私は、ホビット愛は深けれど、そうそう何度も何度も映画館に足を運ぶことができないので、まだ一度しか観られていないため、そろそろ記憶がぼやけてきました。。
年明けに、あと1回は観にいきたいと思ってるんですが。
では、トーリンとビルボ編、ネタばれ大アリで行きます↓
前回は、トーリンが死闘の末、宿敵アゾグを打倒したあと、ビルボが見ている前で倒れてしまうシーンまで書きました。
…ということは、いよいよクライマックス。
死の床のトーリンとビルボの和解の場面です。
ちなみに、私が原作を読んだとき一番心に残ったのが、このシーンであり、このシーンでのトーリンのセリフでした。
『ホビット』で一番好きなキャラクターであるトーリンの死は、何よりもつらいものですが、それでもなお、このシーンはBOFAを観るにあたって、一番楽しみな場面でもありました。
このシーンのためにこれまでの展開があった…と言ってもいいほど、重要なシーンだと思うし、映画では、原作以上に、このシーンを感動的にするための積み重ねがあったと思います。
…というのも、映画では、トーリンとビルボの関係により重点が置かれていたので。
思えば、AUJのときから続いてるんですよね。
トーリンとビルボのあいだに次第に信頼関係と固い絆が生まれて、AUJのラストのあの場面があったわけで。
考えたら、石頭でプライドが高いトーリンが、自分の非を認めるなんて、そうそうないことでしょうからね。
DOSでも、ビルボの活躍でスラ王の牢屋から抜け出すことができて、トーリンのビルボに対する信頼はさらに深まるし、そうそう、エスガロスでは、ビルボもまたトーリンを深く信頼しているということが明らかにされます(EE版のみなんでしたっけね、あの場面)。
…そんな中、DOSの最後からBOFAにかけて、アーケン石をめぐってトーリンとビルボの信頼関係にヒビが入りはじめ。
そもそもの発端は、スマウグに疑いを吹き込まれたビルボがアーケン石を隠した…という行動だったと思いますが、それでも、2人の関係がけっして決定的に崩壊することがなかったのがおもしろいですね。
アーケン石の行方に疑念を抱きながらも、ビルボのことは信頼したままのトーリン。
彼は、あれほど猜疑心のかたまりになっておきながらも、バルドたちがアーケン石を手にもって姿を現し、ビルボが自らのしたことを告白するまで、ビルボのことをさほど疑っていたようには思えません(…DOSでトーリンがビルボに剣を向ける場面とどんぐりのくだりはあるにしても)。
だからこそ、ビルボに「裏切られた」と知ったときのショックが大きく、それだけビルボにつらくあたることになったんだと思います。
ここで、トーリン側からビルボへの信頼は崩壊したわけですが、ビルボ側からトーリンへの信頼は壊れていないんですよね。
トーリンに殺されかけてなお、ビルボは、それが本来のトーリンではないと信じているし、彼がふたたび正気にもどってくれることを願っているわけです。
それだけ信頼しているからこそ、ビルボは、五軍の戦いの戦場で、スラ王やバルドではなく、トーリンたちのために役に立とうとするんですよね。
…そんな積み重ねがあって、この和解の場面です。
この時点で、トーリンは、竜の病をすでに克服しているので、ビルボに対する以前の振るまいを詫び、許しを請います。
映画と原作とでは、トーリンのセリフが微妙に違いましたが、主旨はほぼ同じだったと思います。
映画では、何が泣けるって、どんぐりにまつわるエピソード。
ビルボがアーケン石をもっているのではないかと疑いかけたトーリンに対し、ビルボが、家に帰ったら植えるつもりなんだ…と言って見せた、ビヨルンの庭で拾ったどんぐり。
トーリンは、(病んでいたあいだのこととはいえ)ちゃんとそのことを覚えていたんですね。
ビルボだって、金銀宝石に執着してるわけじゃないけど、一瞬はトーリンに疑念を抱いて、アーケン石を自分のものにしかけたし、一つの指輪だって自分のものにしてるんですが、トーリンにとって、ビルボは、あくまで暖炉や肘掛け椅子、本やハンカチを愛する、素朴で愛すべき存在だったんだなぁ…と(もちろん、いざというときの勇気はさておき)。
そして、自分はそういう存在にはなれなかったけど、そういう生き方をリスペクトしていて、どこか憧れをもっていたのかも…なんて。
さて、最初に、私が原作を読んだとき一番心に残ったセリフ…ということを書きましたが、それは、黄金よりも…のくだりではなく、「Farewell good thief」というセリフでした。
きっと映画でも、このセリフはこのまま使われるだろう…と思っていて、リチャードさんの声でこのセリフを脳内再生すらしていたんですが、違ってた…。
映画では、「Farewell, Master burglar」でしたよね、たしか?
私は、原作至上主義じゃないし、このセリフも悪くない…。
悪くないけど、ここはやっぱり「good thief」にしてほしかったなぁ、と。
「good thief」だったら、さらにもっと泣けたよ、きっと。
何が良いって、私の勝手な意見なんですけど、「thief(=泥棒)」という単語にあえて「good」というプラスの形容詞を組み合わせているところがあざといというか。
また、単純に同じ単語を繰りかえさないためかもしれませんが、契約上のビルボの役回りをあらわす「burglar」ではなく、あえて「thief」という違う単語を使っているため、単に冒険におけるビルボの役回りとしての「burglar(忍びの者)」ではなく、アーケン石を盗んだ「泥棒」という意味が浮かびあがるような気がして。
まあ、どっちも似たような意味なんですけどね。
…で、そこに「good」とついていることで、トーリンが、アーケン石を盗んだビルボの行動が善意からのものだったと心から理解していることが伝わるような気がしたんです。
それに、そういう言葉を選んでいるところに、トーリンのビルボに対する愛情とか親しみが感じられるというか。
なので、「Master burglar」は、あまりに普通だ…と思ってしまいました。
リチャードさんの声で「good thief」、聞いてみたかったなぁ。
ま、それは置いといて。
この場面、トーリンが息を引きとるまで、ビルボが感情を抑えているところが良いですね。
ここからの一連のシーンでのマーティンの演技は、本当に素晴らしかったと思います。
トーリンの死後、埋葬シーンなどは端折られていましたが、デイルの町?で演奏された音楽は、トーリンのテーマじゃなかったでしたっけ?(ウロ覚え)
ドゥリンの一族のテーマでしたっけ?
そういえば、あの場面は、何を意味してるんでしょう?
トーリンのお葬式?
戦勝祝賀?
エレボールとデイルの再興?
一度観ただけなので、いろいろ見落としてそう…。
さて、BOFAで私が一番泣けたシーン。
トーリンとビルボの和解とトーリンの死の場面かと思いきや、実は、このあと。
エレボールの正門(…でしたっけ?)の前で、ドワーフたちと別れを告げるビルボ。
トーリンのことを、「彼は…」と言いかけたけれど、こみあげる嗚咽で、結局何も言えませんでした。
これね…すごく自然というか、共感できるというか。
本当につらいときって、こうなりますよね。
あまりにも感情が高ぶって、言葉にするっていう、たったそれだけのことが信じられないくらい難しくなる、あの感じ。
つらさや悲しさをまだ受けとめられていないというか、それで言葉にできないんですよね。
このマーティンの演技が、あまりにも説得力ありすぎて、こっちまですんごくつらくなりました。
…で、これと対になっているシーンが、ホビット庄に帰ったあと、袋小路屋敷の家財道具の競売の場面。
これ、きっとEE入りか、そもそもスルーかと思っていましたが、最後に納得。
競売をストップさせるため、本人確認を求められたビルボが、証明のためにとりだしたのが、冒険の契約書。
契約の相手が、聞きなれないトーリン・オーケンシールドという名前だったため、それが一体誰なのかと問われたビルボが、「彼は友人だった」と答えるわけですが…。
これ書いてて、なんだか泣けてきましたよ。。
エレボールでは言えなかった「続き」を、ここで、ビルボはようやく口にすることができたんですよね。
それはつまり、ビルボのつらさや悲しみがすこしは癒えて、トーリンの死を受け入れることができた、ということなんだと思います。
何が悲しいって、過去形なのがまた悲しい。。
彼は友人だった、けれどもう彼はこの世にはいない…ってことじゃないですか。
エレボールでのシーンとセットで、BOFAで私が一番泣けたシーンです。
トーリンが出ていないシーンだけど、これ以上なく、トーリンの存在の大きさと喪失感を感じさせられる場面だと思うんです。
なんかもう…自分がビルボになっちゃったみたいに悲しくて。
一つの指輪を失ったあとレベルの、埋められない喪失感を味わった気がします。
それにしても、この「彼は友人だった」というセリフが、『ホビット』のエッセンスをあらわしているというか…。
結局のところ、トーリンとビルボの物語だったんですよね。
本編やLOTRでは大して語られないけど、ビルボは、その後の人生で、トーリンのことをどんなふうに思い出したんだろうなぁ…なんて考えると、切ないですね。
…と、トーリンとビルボについて、長々と語ってきましたが、このあたりで締めくくりたいと思います。
また2回目鑑賞したら、思うところがあるかもしれないし、考えが変わるかもしれないけど、とりあえず、一度目の鑑賞での感想はこのあたりで。
…ということは、いよいよクライマックス。
死の床のトーリンとビルボの和解の場面です。
ちなみに、私が原作を読んだとき一番心に残ったのが、このシーンであり、このシーンでのトーリンのセリフでした。
『ホビット』で一番好きなキャラクターであるトーリンの死は、何よりもつらいものですが、それでもなお、このシーンはBOFAを観るにあたって、一番楽しみな場面でもありました。
このシーンのためにこれまでの展開があった…と言ってもいいほど、重要なシーンだと思うし、映画では、原作以上に、このシーンを感動的にするための積み重ねがあったと思います。
…というのも、映画では、トーリンとビルボの関係により重点が置かれていたので。
思えば、AUJのときから続いてるんですよね。
トーリンとビルボのあいだに次第に信頼関係と固い絆が生まれて、AUJのラストのあの場面があったわけで。
考えたら、石頭でプライドが高いトーリンが、自分の非を認めるなんて、そうそうないことでしょうからね。
DOSでも、ビルボの活躍でスラ王の牢屋から抜け出すことができて、トーリンのビルボに対する信頼はさらに深まるし、そうそう、エスガロスでは、ビルボもまたトーリンを深く信頼しているということが明らかにされます(EE版のみなんでしたっけね、あの場面)。
…そんな中、DOSの最後からBOFAにかけて、アーケン石をめぐってトーリンとビルボの信頼関係にヒビが入りはじめ。
そもそもの発端は、スマウグに疑いを吹き込まれたビルボがアーケン石を隠した…という行動だったと思いますが、それでも、2人の関係がけっして決定的に崩壊することがなかったのがおもしろいですね。
アーケン石の行方に疑念を抱きながらも、ビルボのことは信頼したままのトーリン。
彼は、あれほど猜疑心のかたまりになっておきながらも、バルドたちがアーケン石を手にもって姿を現し、ビルボが自らのしたことを告白するまで、ビルボのことをさほど疑っていたようには思えません(…DOSでトーリンがビルボに剣を向ける場面とどんぐりのくだりはあるにしても)。
だからこそ、ビルボに「裏切られた」と知ったときのショックが大きく、それだけビルボにつらくあたることになったんだと思います。
ここで、トーリン側からビルボへの信頼は崩壊したわけですが、ビルボ側からトーリンへの信頼は壊れていないんですよね。
トーリンに殺されかけてなお、ビルボは、それが本来のトーリンではないと信じているし、彼がふたたび正気にもどってくれることを願っているわけです。
それだけ信頼しているからこそ、ビルボは、五軍の戦いの戦場で、スラ王やバルドではなく、トーリンたちのために役に立とうとするんですよね。
…そんな積み重ねがあって、この和解の場面です。
この時点で、トーリンは、竜の病をすでに克服しているので、ビルボに対する以前の振るまいを詫び、許しを請います。
映画と原作とでは、トーリンのセリフが微妙に違いましたが、主旨はほぼ同じだったと思います。
映画では、何が泣けるって、どんぐりにまつわるエピソード。
ビルボがアーケン石をもっているのではないかと疑いかけたトーリンに対し、ビルボが、家に帰ったら植えるつもりなんだ…と言って見せた、ビヨルンの庭で拾ったどんぐり。
トーリンは、(病んでいたあいだのこととはいえ)ちゃんとそのことを覚えていたんですね。
ビルボだって、金銀宝石に執着してるわけじゃないけど、一瞬はトーリンに疑念を抱いて、アーケン石を自分のものにしかけたし、一つの指輪だって自分のものにしてるんですが、トーリンにとって、ビルボは、あくまで暖炉や肘掛け椅子、本やハンカチを愛する、素朴で愛すべき存在だったんだなぁ…と(もちろん、いざというときの勇気はさておき)。
そして、自分はそういう存在にはなれなかったけど、そういう生き方をリスペクトしていて、どこか憧れをもっていたのかも…なんて。
さて、最初に、私が原作を読んだとき一番心に残ったセリフ…ということを書きましたが、それは、黄金よりも…のくだりではなく、「Farewell good thief」というセリフでした。
きっと映画でも、このセリフはこのまま使われるだろう…と思っていて、リチャードさんの声でこのセリフを脳内再生すらしていたんですが、違ってた…。
映画では、「Farewell, Master burglar」でしたよね、たしか?
私は、原作至上主義じゃないし、このセリフも悪くない…。
悪くないけど、ここはやっぱり「good thief」にしてほしかったなぁ、と。
「good thief」だったら、さらにもっと泣けたよ、きっと。
何が良いって、私の勝手な意見なんですけど、「thief(=泥棒)」という単語にあえて「good」というプラスの形容詞を組み合わせているところがあざといというか。
また、単純に同じ単語を繰りかえさないためかもしれませんが、契約上のビルボの役回りをあらわす「burglar」ではなく、あえて「thief」という違う単語を使っているため、単に冒険におけるビルボの役回りとしての「burglar(忍びの者)」ではなく、アーケン石を盗んだ「泥棒」という意味が浮かびあがるような気がして。
まあ、どっちも似たような意味なんですけどね。
…で、そこに「good」とついていることで、トーリンが、アーケン石を盗んだビルボの行動が善意からのものだったと心から理解していることが伝わるような気がしたんです。
それに、そういう言葉を選んでいるところに、トーリンのビルボに対する愛情とか親しみが感じられるというか。
なので、「Master burglar」は、あまりに普通だ…と思ってしまいました。
リチャードさんの声で「good thief」、聞いてみたかったなぁ。
ま、それは置いといて。
この場面、トーリンが息を引きとるまで、ビルボが感情を抑えているところが良いですね。
ここからの一連のシーンでのマーティンの演技は、本当に素晴らしかったと思います。
トーリンの死後、埋葬シーンなどは端折られていましたが、デイルの町?で演奏された音楽は、トーリンのテーマじゃなかったでしたっけ?(ウロ覚え)
ドゥリンの一族のテーマでしたっけ?
そういえば、あの場面は、何を意味してるんでしょう?
トーリンのお葬式?
戦勝祝賀?
エレボールとデイルの再興?
一度観ただけなので、いろいろ見落としてそう…。
さて、BOFAで私が一番泣けたシーン。
トーリンとビルボの和解とトーリンの死の場面かと思いきや、実は、このあと。
エレボールの正門(…でしたっけ?)の前で、ドワーフたちと別れを告げるビルボ。
トーリンのことを、「彼は…」と言いかけたけれど、こみあげる嗚咽で、結局何も言えませんでした。
これね…すごく自然というか、共感できるというか。
本当につらいときって、こうなりますよね。
あまりにも感情が高ぶって、言葉にするっていう、たったそれだけのことが信じられないくらい難しくなる、あの感じ。
つらさや悲しさをまだ受けとめられていないというか、それで言葉にできないんですよね。
このマーティンの演技が、あまりにも説得力ありすぎて、こっちまですんごくつらくなりました。
…で、これと対になっているシーンが、ホビット庄に帰ったあと、袋小路屋敷の家財道具の競売の場面。
これ、きっとEE入りか、そもそもスルーかと思っていましたが、最後に納得。
競売をストップさせるため、本人確認を求められたビルボが、証明のためにとりだしたのが、冒険の契約書。
契約の相手が、聞きなれないトーリン・オーケンシールドという名前だったため、それが一体誰なのかと問われたビルボが、「彼は友人だった」と答えるわけですが…。
これ書いてて、なんだか泣けてきましたよ。。
エレボールでは言えなかった「続き」を、ここで、ビルボはようやく口にすることができたんですよね。
それはつまり、ビルボのつらさや悲しみがすこしは癒えて、トーリンの死を受け入れることができた、ということなんだと思います。
何が悲しいって、過去形なのがまた悲しい。。
彼は友人だった、けれどもう彼はこの世にはいない…ってことじゃないですか。
エレボールでのシーンとセットで、BOFAで私が一番泣けたシーンです。
トーリンが出ていないシーンだけど、これ以上なく、トーリンの存在の大きさと喪失感を感じさせられる場面だと思うんです。
なんかもう…自分がビルボになっちゃったみたいに悲しくて。
一つの指輪を失ったあとレベルの、埋められない喪失感を味わった気がします。
それにしても、この「彼は友人だった」というセリフが、『ホビット』のエッセンスをあらわしているというか…。
結局のところ、トーリンとビルボの物語だったんですよね。
本編やLOTRでは大して語られないけど、ビルボは、その後の人生で、トーリンのことをどんなふうに思い出したんだろうなぁ…なんて考えると、切ないですね。
…と、トーリンとビルボについて、長々と語ってきましたが、このあたりで締めくくりたいと思います。
また2回目鑑賞したら、思うところがあるかもしれないし、考えが変わるかもしれないけど、とりあえず、一度目の鑑賞での感想はこのあたりで。
スポンサーサイト
コメント